トラスロッドの調整

僕は年に2、3度くらいネックの反りを調整していますが、そんな時に必ず悩まされるのが、
「トラスロッドをどっちに回せばネックはどうなんの?」
というトコロです。

何となくは覚えてるんだけど、いかんせん弦楽器の一番デリケートな部分と言っても過言ではない箇所なので、うろ覚えの知識では実行になかなか踏み切れないのです。だから、僕はその度に昔読んでたベース雑誌を押し入れから引っぱり出しては、メンテナンス特集の号を探すハメになっていました。まったくもって時間が勿体無い。時は金なりってもんだ。

そんな風に考えると、別に難しいことじゃないのに、その知識を使う機会が少ないが為にしっかりと覚えられない事って、結構あることに気付いたのが、このテキストを書こうと思ったきっかけです。
「あ、これってどうやんだっけ?」
って思った時に本棚をひっくり返す手間が、少しでも省ければしめたものです。

状態の把握

まず、ネックの反りを直すにはそのネックがどういう状態になってるかを、しっかり把握する必要があります。俗に言う「順反り」「逆反り」か、と言うことです。弦に引っ張られる様な方向に反っていることを「順反り」、その逆を「逆反り」といいます。そのまんまです。

構造の把握

で、それを把握したならば、次はネックの構造を知っておくといい。本当はこの構造をしっかりと覚えてたら、トラスロッドの回す方向で迷うことはないはずなんだけど、人ってのは忘却の生き物だからしょうがない。

下の方にあるインチキ臭い図は、ネックの断面図のつもりです。図中の円弧を描いているものがトラスロッドです。トラスロッドは曲がって入っているのです。そして、「A」と「C」のポイントで固定されていて、そのどちらかが回すポイントになってます。

ここでロッドを締めた(または緩めた)時に、「B」のポイントがどっちに移動するのかなぁ、って考えてやればそれが答えになる訳です。

トラスロッド断面図

要するに、

  • ロッドを締めれば逆反り方向にネックは曲がる。
  • ロッドを緩めれば順反り方向にネックは曲がる。

と、言うわけです。図で言えば、ロッドを締めると「B」のポイントは矢印の方向に動くということになります。

あとは調整

回す方向がわかったら、あとは良い感じに調整すればいいんだけど、この「良い感じ」ってのが難しい。僕の場合は1回に45度ぐらい回しては確認、回しては確認って繰り返して良いポイントを探ってます。

良いポイントの目安としては、しっかりと調弦した状態で、左手で1フレットを押さえ、同時に右手で最終フレットを押さえた状態で、その中間部分で弦とフレットの間に若干の隙間(1mm以下ぐらいかな)がある程度がちょうど良いと思います。

完全にネックをまっすぐに調整すると、上記の確認法では弦がすべてフレットに接することになるので、これは若干順反り状態ということになります。何でこんな状態がちょうど良いのかというと、はっきりとはわからないけど、おそらく演奏時の弦の振動を邪魔しないために、適度な順反り状態であることが必要なのだと思います。

追記

フレットの磨耗具合によっても、最適なネックの状態は異なってくるようです。以前60年代モノのジャズベを触らせてもらった事があったんだけど、そのジャズベのネックは少々順反りぎみでした。所有者は非常に素晴らしいベーシストで、メンテナンスをおろそかにするような人ではなかったので、何故順反りセッティングになっているのか聞いてみたところ、フレットの磨耗が激しく、ネックをフラットにするとポジションによっては良い音が出なくなるからとの事でした。


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