t-kuma@web > Archives > 2004/06/15 > ミュートとスタッカート
ミュートとは、音を消す、音を弱めるといった意味の言葉で、これはベースに限らず、弦楽器を演奏する上で非常に重要な技術です。ミュートという言葉に意味が2つあるように、ミュートの用途も大きく分けて2つあると考えています。
ひとつは、音を消す(止める)為のミュート。これは、弾いていない弦が鳴るのを防ぐために行ったり、鳴っている(振動している)弦を止めるために行います。
もうひとつは、音を弱めるためのミュート。ボリュームの話ではありません。実際の音量は、ボリュームノブやピッキングで調整します。
ミュートには「弱音器」という意味もあり、ここで言うミュートとは「弱音器によって音を弱める」という意味です。
では、弱音器とはどういうものかという話ですが、このコンテンツでは器具による弱音は扱わず、両手の内のいづれかを弱音器にみたてて行うミュートについて述べていくので、弱音器についての記述は割愛します(っていうかよく知りません。スミマセン)。
「プロとアマチュアの違いはミュートができるかどうかだ」
という人もいるぐらい、ミュートは大切です。このセリフは主に「余計な音を出さないミュートができるかどうか」を指しているんじゃないか、と僕は思ってます。まぁ、プロとアマの違いがここなのかどうかはわかりませんが、確実に言えるのは「クリアできれいな音を出すのに必要な技術」だということです。
「クリアじゃなくきれいでもない音」を格好良いと思う心も、僕のどこかにあるんですが、そういう事を感じたりした事ありませんか?僕は、この問題が「練習をする」ということに対して、矛盾しているのかどうかすらわからないでいます。いや、「音」で考えるからわからないのかな。「音楽」として考えた場合は、きれいな音もきたない音も「音楽」を構成する1パーツになり下がるし……う~ん、余談でした。
それでやり方ですが、はっきり言って人によって千差万別だとは思いますが、僕なりのやり方を書いてみようと思います。ただし説明は基本的に、2フィンガーピッキングの場合です。
基本的に僕は、右手と左手の両方で役割分担をしてミュートを行っています。どのように分担しているかというと、
「ピッキングした弦より低音弦を右手。ピッキングした弦を含めそれ以上の高音弦を左手」
という感じです。具体的には、たとえば2弦5フレットG音を弾いた場合に、他の弦の共鳴等を防止するためにミュートをする訳ですが、まず4弦に関しては、僕は大抵右手の親指を4弦にのせて固定してピッキングしているのでミュートOK。3弦に関しては2弦を弾いた指が3弦に触れた状態でフィニッシュするのでミュートOK。1弦は2弦5フレットを押さえている指と、その他の指が触れてミュートOK。という具合です。
じゃあ、1弦を弾いたときはどうするのかというと、この場合は4弦は親指で、2・3弦は右手の薬指や小指で、という感じに、すべて右手でミュートしているようです。
以上は音を出さないためのミュートでしたが、もうひとつここで述べておきたいミュートに「音を止めるためのミュート」というものがあります。これは、このコンテンツの中で実は一番重要な技術だと思ってます。
なぜなら、「音を止める」とはイコール「音を切る」と同じ意味で、これは「音符の長さ」や「グルーヴ」を決めるための重要な要素になるからです。
ベースにおいて、「音を止める」とはイコール「弦の振動を止める」という事です。したがって、音を止めたいときは、その弦に触れて振動をおさえてやればいいだけです。
僕は、左手で押弦している場合は、その指を浮かせて(ただし弦から離さないで)振動をおさえます。ただし、1本指だけで触れた状態では、場所によってはハーモニクスが出てしまう場合があるので、2本以上の指を触れた状態にするか、右手でもその弦に触れます。これは、場面によりけりですが。
その他、特にスタッカートに演奏したいときには、以下のような手段で行っています。
「音を止めるミュート」のように、ピッキング直後に押弦している指を浮かせて音を止める方法です。前述のように、ハーモニクスに注意が必要です。指を浮かせるタイミングを早くすればするほど、ゴーストノート的な音が得られます。
2フィンガーで弾いている時、ピッキングした直後にあまってる指で弦に触れて音を止める方法です。基本的に2フィンガーなので、たいていのフレーズで使えます。
冒頭で「音を弱めるためのミュート」とは、ここでは「両手の内のいづれかを弱音器にみたてて行うミュート」とすると書きましたが、僕はこのミュートは「音を弱める」というよりも「音色・音質を変える」ために使用しています。ギターでミュートしてピッキングするようなアレです(どれだ)。
具体的には以下の2つの奏法で行っています。
弦のブリッジ側端部に、右手の小指側側面を添えてミュートし、親指でピッキングする奏法です(わかりづらいかな)。いかりや長介氏はいつもこのフォームで弾いていたらしく、そこからこの奏法の名前がついているようです。
ちなみに僕は、ミュートしないで親指でピッキングする時もいかりや長介奏法だと思ってるんですが、どうなんでしょう? マーカス・ミラーが多用してるのを観ました。まぁ、マーカスはいかりや長介の事は知らないだろうから、ギターを真似てこの奏法を身につけたのでしょう。
この奏法は早いフレーズには向いてないです。っていうか、普通の人は普段使っていない親指でのピッキングは、それほど早くはないフレーズでも難儀なはずです。ただ、この奏法をやるときは、その難儀感も味になると思ってますが。
人さし指も使って数の上では2フィンガーで弾いたりもしてます。
弦を押さえる指を人さし指に限定し、残りの指(たいていは中指と薬指)を添える事によってミュートする奏法です。タワー・オブ・パワーのロッコ・プレスティアは、この奏法でタイトな16ビートをきざみ、複雑なフレーズも鬼のように早いポジション移動で弾ききります。
一般的にこの奏法は早くて単純なフレーズに向いてると思います。押弦する指が1本になってしまう為、複雑なフレーズは異常にポジション移動が多くなり、大変なのです。
以上、ミュートについてだらだらと書いてきましたが、音を止めるミュートに関してはやり方はどうでもいいと思います。要は止めたいときに音が止まればいいんであって、個人々々でやりやすい方法を考えればいいと思います。しかも、クリアできれいな音を良いと思わない人は、やらなくたっていいかもしれません。どっちも出来た方がいいかどうかだってわかりません。
自分の演奏を録音して「雑音まじり、いかん!」って思った人とか、ミュートに必要性を感じた人だけにお勧めします。