t-kuma@web > Archives > 2004/07/07 > 2フィンガーピッキング考察 [2]
前回、「どんなフレーズ・どんなリズム・どんなスピードでも変わらずにストレスなく弾ける」という目標を設定し、それを妨げやすいポイントも確認して、いよいよ練習か? というところですが、その前にひとつ。
右手のこまかい奏法の話になりますが、僕は弦移動に関して「コレ」ときめたフィンガリングの原則を徹底しています。それは、
という2点です。
「高音弦に移動するときはオルタネイト」というのは、その時弾いていた弦より高音弦に移動するとき、移動前の弦を最後に弾いた指と違う指で移動後の弦を弾き始める。ということです。
たとえば、3弦を弾いていて2弦に移るとき、3弦を最後に人差し指で弾いていたら、2弦は中指から弾き始める。といった感じで、これは言ってみれば当たり前のことです。3弦を最後人差し指で弾いて、2弦に移動後、また人差し指から弾き始めるのはテンポが速い場合とても難しいですよね。
つまりこの原則は、これ自体はどうということはありません。みんなやっていることです。この原則が真価を発揮するのは、次の原則と合わせて徹底した場合です。
では、次の「低音弦に移動するときはレイキング」ですが、その前に「レイキング」とは、たとえば1弦を中指で弾いて次に2弦を弾きたい時に、そのまま1弦を弾いた中指で2弦も弾く奏法、というかピッキング手順のパターンです。
この「レイキング」は、しばしば高等テクニックのように扱われ「速弾き」などに用いられるように紹介されますが、これも考えようによっては誰でもやってることです。
白玉(全音符や二分音符など)のフレーズが続くような場面で、2弦を弾いた後に3弦を弾くような場合、自分にとって弾きやすい1本の指で弾ききってしまうのではないでしょうか。これだって立派な「レイキング」だと僕は思ってます。
そして、「レイキング」は基本技術として早めに習得したほうが、2フィンガーピッキングをやっていく上で良い事だと思います。したがって当サイトでは「レイキング」をピッキング手順として表現し、今後は「」も付けてあげません。
やっと本題の「低音弦に移動するときはレイキング」とはどういうことかと言いますと、もうお分かりのように、その時弾いていた弦より低音弦に移動するとき、移動前の弦を最後に弾いた指と同じ指で移動後の弦を弾き始める。ということです。
この原則はちょっと難しいです。なんせ世間では高等テクと言われるレイキングをしなくちゃはじまらないので。しかも、2弦から3弦のような隣り合った弦への移動だけではなく、1弦から3弦、2弦から4弦、さらには1弦から4弦への移動でも徹底させなければ、後述する意味を持たなくなるため大変です。
僕もこの原則を徹底するのには苦労してまして、色々な練習をしています(それらは後ほど詳しく紹介したいと思います)。
さて、この2つのフィンガリング原則はどういう意味なのか。ということですが、これを徹底することによって「弦移動がスムーズになり、決まった指使いをしなくてもあらゆるフレーズが弾ける」ようになる事を目的にしています。
すなわち、前述の「技術の向上における目標」の達成をを妨げるポイントのうち、半分をクリア出来るという、素晴らしい原則なのです。
では、なぜこれを徹底することによって「弦移動がスムーズになり、決まった指使いをしなくても全てのフレーズが弾ける」のか。
まず、「スムーズな弦移動」ですが、これはレイキングにより単純に低音弦への移動が最適化されるという事と、原則どおりにピッキングしていれば「右手のフィンガリングを間違えたために、同じ指で高音弦に移動せざるを得ない状況」という事態には陥らない(ハズ)という事で実現されると考えます。
次に、「決まった指使いをしなくても全てのフレーズが弾ける」ということに関しては、まず下の譜例1をご覧下さい。
G|-------6-----------6-----------6-----------6-----------6-----| D|-----7---7-------7---7-------7---7-------7---7-------7---7---| A|---7-------7---7-------7---7-------7---7-------7---7-------7-| E|-5-----------5-----------5-----------5-----------5-----------|
譜例1のようなアルペジオ的フレーズを弾く事を想定してください。そして、フィンガリング原則に基づいて1音ずつ弾く指を当てはめてみましょう。人差し指から弾きはじめた例を下の譜例2に示します。
G|-------6-----------6-----------6-----------6-----------6-----| D|-----7---7-------7---7-------7---7-------7---7-------7---7---| A|---7-------7---7-------7---7-------7---7-------7---7-------7-| E|-5-----------5-----------5-----------5-----------5-----------| f|-f-m-f-m-m-m-m-f-m-f-f-f-f-m-f-m-m-m-m-f-m-f-f-f-f-m-f-m-m-m-|
ご覧のように、4弦に戻るたびに指が入れ替わっています。原則に忠実な指使いでピッキングを心がけると、この例のように、あるフレーズに決まった指使いを決める事ができなくなります。
したがって否応なく「決まった指使いをしなくてもあらゆるフレーズが弾ける(というか、弾かなきゃならない)」ようになり、さらに言えば、左手のフィンガリングに対する右手の指使いをいちいち考えなくても弾けるようになります。と思うのです。
これは大変大きな事だと思います。
演奏中には演奏方法などに頭を使っている暇はありません。「どの音をどんな音色で弾こうか」という程度考えた後は、自動的に体が楽器を鳴らしているぐらいになりたいものです。(僕は常日頃から、ベースを口笛と同じぐらいのレベルで演奏できれば、どんなに素晴らしいだろうと思うのです。口笛の「奏法」に頭はつかわないでしょう?)
つづく → "2フィンガーピッキング考察 [3]"