エレクトリックベースのための五線譜に関する知識

へ音記号1

エレクトリックベース(以下「ベース」)の奏者が学習過程で使用する楽譜は、おもにTAB譜だと思う。しかし、楽譜というものの標準的な様式は五線譜だろうし、演奏をおこなうにあたって、楽譜は五線譜しかないという状況もあると思う。そこで今回は、TAB譜をある程度理解しているベース奏者が五線譜を読む場合に知っておくと便利なことを、自らの経験をもとにまとめてみたい。

へ音記号

ベースの楽譜を五線譜で書く場合、一般的にヘ音記号が用いられる。

へ音記号2

ただし、ベースの場合、実際の音程は表記上の音程より1オクターブ低くなる(※1)。表記より1オクターブ低いことを明示すために、以下のようにヘ音記号の下に「8」という数字を記載するものもある。このページでは、誤解がないように「8」を明示した表記を用いる。

へ音記号_8

ヘ音記号において、記載されている音符が何であるかを判断するには、ヘ音記号の形からF(ファ)の場所がわかるので、これを基準とするのがわかりやすい。

ヘ音記号のFの明示

基準としたFから数えていけば、いちおう全ての音符の音名はわかると思うが、このような方法で実際の楽譜を読んでいくのは骨がおれる。実用レベルで楽譜を読むためには、五線の範囲内と上下それぞれ二線を書き加えた範囲くらいの音符の音名を暗記してしまえばいいと思う。

ヘ音記号に上下二線の加線を加え、各音名を記載した画像

ト音記号

ト音記号は、ベースの楽譜ではほとんど登場することはないが、つぎのような理由で読めるようになることを勧めたい。

  • メロディを奏でるパートはたいていト音記号を用いる。メロディはベース奏者にとっても重要である。
  • クラシックの楽譜などでは、ヘ音記号の五線をこえる高い旋律が続くような場合、ヘ音記号の楽譜が一時的にト音記号に切りかわることも多い。
  • 五線譜の知識を得るに際して、ヘ音記号だけ学んでト音記号を学ばないのはもったいない。というより、記号以外はほぼ同じである。

ト音記号にも、表記より1オクターブ低いことを明示すために「8」を記載することがある。ギターの楽譜は、一般的にト音記号を用い、実際の音程は表記上の音程より1オクターブ低くなる。

ト音記号と、ト音記号_8

ト音記号において、記載されている音符が何であるかを判断するには、ヘ音記号にならって書けば「ト音記号の形からG(ソ)の場所がわかるので、これを基準とするのがわかりやすい」となるが、個人的にト音記号の場合はC(ド)の位置がわかりやすいと思う。

ト音記号のGとCの明示

ヘ音記号と同じように、実用レベルで楽譜を読むためには、五線の範囲内と上下それぞれ二線を書き加えた範囲くらいの音符の音名を暗記してしまえばいいと思う。

ト音記号に上下二線の加線を加え、各音名を記載した画像

ト音記号とヘ音記号の関係

ト音記号が高音部、ヘ音記号が低音部をあらわしていることはわかるが、どこまでがト音記号で、どこからがヘ音記号なのだろう。

これについて考えるために、オクターブを区別する音名の表記方法を用いたい。ここでは、Wikipedia の「音名・階名表記」(※2)を参考に、「国際式」と呼ばれるオクターブ表記を用いることにする。国際式のオクターブ表記では、C、D、E、…B といった音名に、0 から 8 までの数字を併記してオクターブを区別する。数字が小さいほど低い音、大きいほど高い音になり、たとえば、C4 は C3 の1オクターブ上というように考える。

ト音記号とヘ音記号のそれぞれにオクターブ表記の音名を記入すると、以下のようになる。

ト音記号とヘ音記号の上下二線加線したものに、オクターブ表記をする

ト音記号_8とヘ音記号_8の上下二線加線したものに、オクターブ表記をする

上の図からわかるように、ト音記号とヘ音記号は五線に一線加えたところで一致する。

五線譜上の音と、指板上の音の関係

五線譜上のオクターブ表記による音高がわかったので、今度はベースの指板上の音高もオクターブ表記であらわし、両者の関係をみてみたい。

四弦ベースのチューニングは、低い弦から E、A、D、G である。これをオクターブ表記にすると、E1、A1、D2、G2 となる。(※3)指板図であらわすとつぎのようになる。

オクターブ表記の音名を記した指板図

E1 は、「8」と記載されたヘ音記号において下に一線加えた場所に該当する。このことから、ベースの楽譜は、ヘ音記号を1オクターブ下げて記譜することで、多数の音が五線の中で表現できることがわかる。

その他の五線譜に関する知識

ここでは、ベース奏者が五線譜を読もうとする際に、楽典を調べてもなかなか明確に記されていないようことを、ベース奏者の視点でまとめてみた。ここに書いていない一般的な知識については、楽典を読んでいただければすべて記載されているので、参照されたい。WEB上で楽典の情報を読もうと思うなら、Wikibooks の「楽典」などがある。


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